夢への道は恋の花道?
なんとも拍子抜けな結末に、響は頭を抱えながらミチルを迎えにいった。

そして、4日ぶりの我が家へもどり、先のことについて話し合うことになった。


「これで、学生生活の障害もなくなったし、明日からまたがんばれますね。」


「私、今の学校はやめようかと思って。」


「なぜ?・・・あ、またマウグルのようなやつが出てきたらって心配なんですか?」


「ううん、そうじゃないの。
私は奥さんなんだもん・・・自分がしたいことばかり考えちゃいけなかったのよ。

そのしわ寄せがみんな響さんのところにいって、手間ばかりかけさせてしまって。」



「そんな責任を感じる必要はない!手間とか迷惑とかそんなふうに思わないで。
すべて私が自分でしたいから、動いた。それだけだから、君は夢をかなえた方がいい。」


「うそ、だって日本にいっしょに帰ろうって言ったじゃない。
こんなのは嫌だって・・・。
待ってるのは嫌だって言ったのは本音でしょう?」


「それは、マウグルが君をわがものにしようとして軟禁していたし、私はあんな写真まで見せられてもう気が狂いそうになって。」


「え?写真・・・って・・・。どうして?どうして写真が響さんとこに。
あ!あああぁぁあ!クリスが写真を見せたの?うそ、信じらんない!」


「見せると言われて脅されてきたんでしょう?
性行為はしていなくても、あの写真を撮るために君に触れたことには違いない!
押し入ったついでに殺してやりたかった。
あいつの兄のことは、手遅れになって申し訳なかったと思っていたけど、あの写真を撮ったという事実を知ってから、過去などふっとんでしまったよ。

なのに、君はまだ学校から、あいつの家にもどっていたなんて、我慢ならなかった。いったい何を考えているんだか・・・と。
もう、心変わりされてしまったのかと凹んでしまいました。」



「ごめんなさい。私はあんな写真どうしても見せたくなくて・・・。
それに、いつのまにか響さんはクリスと仲良しさんになってて。」


「クリスは勝手にやってきたんです。モデルでやっていこうと出国する前にクランに私の事情をきいて、力になるって・・・。

テラスティンの事件の犠牲者でもあるから、できる限りのことは手伝いましたけど、少なくとも私は彼女と男女の関係になりたいなどとは考えたことはありません。」



「どうして?すごい美人よ。マウグルなんてもうメロメロじゃない。
あんな美人が響さんのことすごく好きなのよ。

悔しいけど、並んだらあまりにお似合いで・・・私には・・・私なんて入る余地もないわ。・・・・きゃああああ!」


響はとてもうれしそうにミチルを後ろから抱きしめた。

「ああ、なんて私は幸せ者なんだぁ!
ミチルは心変わりなんてするどころか、クリスにそこまで嫉妬してたなんて~~~!

そんなに愛されていたとは・・・私のために夢も学校もあきらめる決心までしてくれたんですね。

とてもうれしくて涙が出ます。
でも、あきらめなくていい。決めました。
ミチルが卒業するまであと1年と半分ほどですし、ここで仕事しながら君を守ります。

大丈夫。どんなヤツが何を仕掛けてきても、守ります。
ただ1つ約束だけしてください。」


「約束?どんなこと?」


「どんなに見せたくないものや聞かせたくないことであっても、正直に私に知らせてくれること。

すべてをわかりあっていれば信じられます。」


「はい。もう隠し事はしません。誓います!」


「よし。じゃ、卒業までこの地でがんばろう。」
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