初恋はイケメンヤンキー
えへへ。



なんかうれしいな。



「あ、ごめん水沢。ちょっと千夏借りるね」



え?



「んー、りょーかい」



え、何々?!



どこに向かって走ってるの?



「那智ちゃん?!」



トイレに入って、やっと止まった。



「ごめんごめん。ちょっと聞きたいことあってさ〜」



「ん?何?」



なんだ、そういうことなら早く言ってくれればよかったのに。



変に緊張しちゃったじゃない。



「千夏って好きな人、いる?」



え?



どうしたんだろ、急に。



好きな人…。



「あたし、好きってどういう感じなのかわからないんだ」



「え!じゃあ千夏は1回も好きな人ができたことないの?!」



「え、そうだけど…」



おかしい、のかな?



でも、本当にわからないんだもん。



「好きっていうのはね、その人のことを考えるだけでうれしくなったり、辛くなったり、側にいるだけでドキドキしたり、話すだけで緊張したりすること」



「は、はあ」



こんな感情になったことがある人…。



う〜ん。



いたのかな?



「たぶんあたしはまだいないかな、そういう人」



「そっかぁ、残念。でも、できたらちゃんと報告してね!」



「うん」



こんな会話を恋バナっていうのかな。



楽しいな。
< 30 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop