黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~
◇囚われたモノ

一瞬足がまるが、何の用事も無いショップに入り込む。店内は規定通りと思えるレイアウトで、自動アの正面にカウンター席が3つ用意されていた。

「いる」
「うわっ・・・」
スマートフォンを見るフリをしながら確認すると、左側に座っている店員の背後に男性が張り付いていた。


10分余り店内をウロウロしながら考えていたものの、何か対策があった訳でもなし、一向に話が前に進まない。

「んもう!!雅治、とりあえず、あの人の前に座りなさいよ!!」
「え、ええ!?」
瑠衣がキレた。
何という気の短さだ・・・
いやまあ、確かに話しかけないと進展しないから、行くしかないんだけど。

意を決して拳を握ると、左側のカウンター席に向かった。


「いらっしゃいませ、どうぞ」
女性は笑顔を見せるでもなく、無愛想に席に座るように手を伸ばす。

客に対し、誉められた態度ではない。いや、もしかすると、あの悪霊に何かしら影響を受けているのかも知れない。

 


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