君と金魚、夜





『近くきたと思うんだけど』


「あたしの家路地を曲がって車が入れない道だから行きますね」


『分かった、黒い車だから』


「わかりました」




これから洸人さんに会える。


あたしは電話を切ろうとした。




『あー待って、電話切らないで?もし何かあったら大変だから』


「何もないですよ」




あたしは笑ってそう言ったけれど電話を切らないまま洸人さんが待ってそうな場所に行く。



12時を過ぎてから一人で外に出るのは初めてだったから緊張した。


しかもそれが洸人さんだから余計に心臓がどきどきしていた。


あたしは何かを期待していたのかもしれない。






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