好きになった人、愛した人。
奈生の手があたしの頬に触れた。


暖かい。


「好きだよチハヤ」


「あたしも」


呟くと、自然と近づく距離。


触れ合う唇。


「どうして、もっと健康に生まれなかったんだろうな、俺」


至近距離で、奈生の黒い目を見つめる。


「生きてるだけで、みんなに迷惑かけちまうような体、たまんねぇよな」


「奈生……もしかして、外出許可が下りても外出しようと思わなかったのって、それが原因?」
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