好きになった人、愛した人。
その日
そして、コンテスト当日。


昨日の夜は緊張と不安でなかなか寝付けなかったけれど、奈生の声を思い出すといつの間にか眠りについていた。


会場に持っていくレシピを大切にカバンに入れて、玄関まで出る。


「じゃぁ、行ってらっしゃい」


叔父さん叔母さん太一の3人が、見送りに出てきてくれた。


会場まで一緒に行こうかと叔母さんが言ってくれたのだけれど、家を出ればそこから先は自分の足で会場まで行きたかったから、断った。

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