好きになった人、愛した人。
太一
家に着くころには涙が乾いていて、あたしは少しホッとした。


叔母さんに色々と聞かれてもまだ整理がつかず、説明する気にはなれなかったから。


リビングのドアを開けていつも通り「ただいま」と言ってから、あたしは固まった。


昼間1階へ降りてくることがめったにない太一が、そこにいたから。


太一の手には通販サイトから届いた箱が握られている。


あたしは必死で冷静さを装い、

「結衣叔母さんと、哲司叔父さんは?」

と、きいた。


「2人とも、でかけた」
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