視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~

大輔と私が二十歳になり、大輔は私にプロポーズしてくれた…

あまりに早い結婚だとは思ったけれど、私の中のセツや、大輔の中の清隆がそうさせたのかな?と思ったりもした…。


大輔と私は、あえて清隆とセツの名前は出さなかったけれど、大輔は、入籍を7月7日にしようと言ったんだ。


不幸を、幸福で塗りかえよう…


そう願いを込めたんだと思う。


入籍の前日、私は報告を兼ねて養護施設に来ていた。

今日は、施設の解放日…

私はこの施設のこの日だけは、好きになれなかった。

この解放日は、七夕を楽しむ事を主にしていたけれど、中には養子に迎えようとする人が紛れていた。

本来、養子先が決まるなら幸せになれる。
そう頭では分かってはいるものの、まるで捨て犬の里親探しみたいで…私は嫌だったんだ…。

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