forget-me-not



いくつものオブジェの視線を通り過ぎ、二人に疲れが見え始めた頃…、永遠に続くかと思われた通路に終わりが見えた。




狭い通路とは対照的な、広間のような場所へ出たようだ。





「ここが最深部…?」


イオが思わずそう言ってしまう程、ここまでの道のりは長かった。


外観はそこまで広くなさそうな神殿なのだが、神殿内は複雑に入り組んでいるのか想像以上の距離を歩かされたようだ。




そして辿り着いたこの広間…。

大抵はこんな場所に仕掛けがあったり、刺客が息を潜めていたりするものだ。





しかし、松明で広間を照らしてみても刺客の姿はなかった。


それどころか不自然に行き止まりになっている。


ウルドは眉間に皺を寄せ、腕を組み、唸る。


「―――仕掛け…謎解きでもしなければ先へ進めないって展開か?」




謎解きなど、試されているようで不快だとウルドは顔を歪めた。


しかし、このまま何の収穫もなしに引き下がるのも癪だ…。

このまま黙って立ちすくんでいても埒が明かないことくらい知っている。





「イオ…。この広間、謎解きしなければ先へ進めないような気がする」



ウルドは、広間を見て回っていたイオに声をかける。

すぐにイオは興味を示し、駆け寄ってきた。




「謎解き…?
そう簡単に進めないようになってる訳だ。


やってやろうじゃん、謎解き。
売られた喧嘩は買うのが筋だっ」




イオはいつになく張り切りモード。

別に喧嘩を売られた訳ではないのだが、イオは至って真面目に言ってるのだからと突っ込むのは控えたウルド。





まずは広間を隅から隅まで調べる必要がある。


暗いままじゃ効率が悪いので、松明の炎をいくつかに分けて広間に並べた。



ぼんやり明るくなった広間。


先程と似た大蛇のオブジェが通路向かって奧に、四体並んでいる。


先程の通路のオブジェと違うのは瞳の色…。

赤、青、緑、金。


しっかりと宝石が瞳として組み込まれている。




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