こらしめ屋


「縄抜けって知ってる?あやとりで、手に巻いた紐がスルリと抜けるやつ。やったことない?それの原理だよ。」



自分の手首にロープを巻き付けて、実演しながら説明した。



「あたしは、あんたみたいに殺しは絶対しない。だけど、依頼人の為にこらしめる。この憎しみはあんたが生んだんだ。」



あたしがそう言うと、宮武の様子が先程とは明らかに違ってきた。

さっきみたいに突っ込んでくるわけでもなく、底知れぬ怒りに奮えているようだった。


やばいな、本気でキレたのかも。


そう思って身構えた時だった。



「舐めやがって。舐めやがって。舐めやがって。舐めやがって。舐めやがって!!!舐めやがって、くそがぁぁぁぁあ!!!」



宮武が叫びながら、もの凄い勢いでこっちに向かって来た。

その手には、いつ取ったのかペティナイフ程の小さな包丁が握られていた。



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