「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
宇留野さん?

呼ばれたのでそちらに移動すれば、どうぞ、と宇留野さんは自分の向かいの席を手で指した。

「どうも」

今自分の身に何が起こっているのか、いまいち把握できてないけど、断る理由もないので言われるままその席に座った。

すぐに水とおしぼりが運ばれてくる。メニューを見るまでもなく、本来の目的である台湾ラーメンを注文した。


自分が居るテーブル席に私を誘ったくせに、宇留野さんは何事もなかったように、食べかけのラーメンをすすり始めた。

何故、宇留野さんと向かい合ってラーメンを食さねばならんのだ。今更だけどそんな疑問がふつふつと湧きあがる。

注文した台湾ラーメンを待つ間、特にやることもないので目の前の宇留野さんをじっと眺めていた。その視線に気付いたのか、不意に宇留野さんが目線を上げて、

「何?」

と、不思議そうに問う。


「いや、『何?』って……別に……」

何故だかこっちが動揺して、返す言葉がしどろもどろになってしまった。が、ふと思い出したことを口にしてみる。

「宇留野さん、二次会に行ったんじゃ……?」

「ああ、断りきれずに移動はしたけど、すぐ抜けて来た。カラオケとか俺、無理だから」

言って、はにかんだような笑みを微かに浮かべた。



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