「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
相変わらず米山は無口だ。向かいの席に座っている私の方なんか見向きもせず、黙々と手作り弁当を貪っていらっしゃる。



それにしても、コヤツの弁当はいつも美味そうだ。母さまが作ってくれているんだろうか。毎日? まぁどうでもいいけど。


もしかして米山……彼女がいたりするのかな。

ふと脳裏を過った可能性に、益々心が沈んだ。



コンビニで買ったオニギリのフィルムを剥がしながら、

「人肌恋しい季節がやって来ましたね、米山くん」

唐突に話しかけてみる。


そろり、視線を上げた米山は、冷ややかに私を見詰めたまま、何故だか微動だにしない。



ね? ともう一度同意を求めれば、小さく息を吐き、

「今日は、いつものヤツじゃねぇのな」

ボソボソッと呟いて、再び視線を逸らした。



「ああ、『どうしてそんなに不細工なの?』ってヤツ? あれ、もう飽きた」


「お前が言うな。こっちは当の昔っから飽き飽きしてんだよ」


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