「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
反射的に立ち上がれば、椅子がガタッと大きな音を立てた。


「何すっ……」


「薬師丸っ!」


すかさず米山が私の名を呼んで制す。ハッと気づけば、信さんの袖の付け根を乱暴に掴み上げていた。



ゆるっと手を離して力なく腕を降ろした。



「着替えれば済む話だろ?」

言いながら米山は立ち上がると、落ち着いた歩みでテーブルに添ってこちらにやって来た。



私の足元にスッとしゃがんで落ちた食器を拾い、

「ここは片付けとくから、着替えて来い」

私の方など見向きもせず俯いたまま小さく言った。



それは酷く静かで、酷く冷ややかで。


ズキリ、胸に鈍い痛みが走った。





更衣室で、どうして私が悪者みたいになってんのよ、と苛立ちながら、荒々しくユニホームの薄いピンクのポロシャツを脱ぐ。



「米山のバーカ」

着替え終わった私はロッカーに向かって毒づき、その扉を乱暴に閉めた。


誰も居ない更衣室に、それはやけに響き渡った。


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