マー君(原作)
良一はちらちらと後ろのドアを見ながら、メールを見た。

これを開いたら、俺は……死ぬ。

死ぬ!

もう、嫌だ!

こんなの、嫌だ! 

死にたく、ない。

死にたくないよ、嫌だ、嫌だ、嫌だ! 

死にたくない。
 
死にたくない!

そう思った時、体が動くようになった。

と、同時にドアがノックされた。

「来るなああああー!」
 
良一はデスクの上に登り、すぐ目の前にある窓を急いで開けた。

その間もノックが、そして良一の叫び声が響いていた。

「俺に近寄るな! 俺に!」

混乱しているせいか、窓がうまく開けられない。

早く、早く、早く!

鍵を開けようとするが、汗で濡れた手がすべる。

その間に、パソコンから信じられない物が見えた。

手――だ。

黒い手がパソコンの画面から出てきている。黒い両手は何かを探すように動いている。

しかし、目的の物が捕まらないとわかると、両手がパソコンの画面の外側を掴み、ふんばるようにして残りの体の部分を画面から引き出そうとした。

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