淡い初恋
そんなある日、度肝を抜かれるような出来事が起きた。廊下側に男子、窓側に女子という配置になっていたため、先生が見かねて男女混合になるようにと席替えを決行した。すると私は窓際の後ろから二番目になり、仲良しの加奈子ちゃんと離れてしまい寂しかったのだけど隣に千堂くんが座って来たので驚いた。

えーーーー!?せ、せ、せ、せ、千堂くん!?が、あ、あ、あ、あっしのと、と、隣に!?凄く驚いて思わず千堂くんをガン見してしまった。思わず目が合いドキッとすると「何?」と怪訝そうに聞かれた。「あ、いや、その。」としどろもどろになっていると突然彼の後ろの席になった女子生徒が千堂くんに向かって「千堂くん、よろしくね。」と声をかけてきた。彼は鬱陶しそうに「あぁ」と言うと前を向いた。すごく嫌そうな顔してた。これは、もしかしてあんまり関わらない方が無難かも。

隣に憧れの千堂くんがいる。それだけで緊張でドキドキしちゃって授業どころじゃなかった。たまに彼の方を一瞥すると彼は、前の方を見て真剣に先生の話に耳を傾けていた。偉いなぁ、やっぱ秀才は違うと思っていると「・・梨さん」と言う声がした。

に、しても鼻が高くて横顔も整っているなと見とれていると「高梨さん!!」と怒鳴るように私を呼ぶ先生の声が聞こえて思わず「へっ!?」と反応した。「返事は『へ!?』じゃなくて『はい!!』でしょ!」と注意を受け、一瞬で笑い者にされ私は肩を竦めた。すると「高梨さん、これどうゆう意味か説明して!」と先生が黒板をバンと叩いた。

私は、え!?っと顔を上げると黒板には「子貢問君子、子曰、先行其言、而後従之」と書いてあった。やばい、全然聞いてなかった。私は、「子貢、君子を問う。子曰く、先ず(まず)その言を行う、而して(しこうして)後(のち)これに従う。」と読み上げると「意味は?」と聞かれた。


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