淡い初恋
次の日の土曜日、彼が私を自分の家に招いた。喜んで行くと家族がいないから二人っきりだと知って露骨にも嫌な顔をしてしまった。部屋に入ると私は「宗次郎さんって今日はどうしたの?」と聞くと彼は「志保さんとデートだろ。」と応えた。

「そっか。」と私は応えた。すると突然、龍くんの理性が吹っ飛んで私に抱き付こうとしてきたから「嫌っ!!」と言って拒絶した。「希・・・。」そう呼ばれ、彼の腕の中で「ごめん・・・。」と言って泣き出した。「どうしたんだよ!?」と彼は戸惑いながら尋ねてきた。

もう、嫌だ、こんなの。楽になりたい。もう、ちっとも私のこと分かってくれない。嫌なのに、龍くんが他の女とも付き合ってるなんて、嫌なのに。なんで罪悪感を感じないの?なんで私が嫉妬させようとしても、どうしてこうも平然としていられるの?

私は掠れた声で「宗次郎さんが好きなの・・・。」とでまかせを言った。

「え?」彼が固まった。「ごめん、龍くん・・・。」
「希・・・・、なんで・・・・?」彼が掠れた声で聞くと私は「だから、ごめん・・・。これ以上は耐えられないから・・・私と別れて・・・。」と応えた。「希!?」彼はガシッと私の肩を掴むと私の顔を真正面から見て言った。「なんで、そんなこと言うんだよ。なんで」私は、涙を流しながらずっと「お願いだから、別れて。」とだけ言い続けた。


もう、耐え切れない。もう、龍くんと一緒にいるとつらい。私の気持ち、分かってくれないのがつらい・・・。こんなに好きなのに。私はこんなに龍くんだけを好きなのに・・・。なんで私だけを愛してくれないの・・・・?

だから、こうなったんだよ、龍くん。全部龍くんがいけないんだ。龍くんが気づいてくれないから・・・・。

龍くんのバカ。私と別れて自分を責めればいい。苦しんでしまえばいい。私を失ったショックで狂っちゃえばいいのに・・・。

< 37 / 83 >

この作品をシェア

pagetop