淡い初恋
彼女は一瞬微笑み、すぐ真顔に戻ると「うち、父が厳しくて、いつも1番を目指せって言われてきたの。だから、人一倍努力したせいか、あんな性格になっちゃって。傲慢で人を見下すようなことがあった。でも、会社のその男性に出逢い『人を蔑むとか、そういった行為が余計自分を惨めにさせる』って言われて気づいたの。本当にそうだったって。だから、ずっと高梨さんに謝りたかったの。」と言ってきた。

「本当にごめんね。」と言うので「あ、いえ。私こそ。学年一可愛くて頭も良くて龍くんとお似合いだったから私も僻んでたよ。ごめんね」と言うとお互い見合ってクスクス笑った。

すると彼女は、「これからもこうやって会えないかな?今度は仲良くなりたい。」と言ってきたので「うん、私も。」と応えた。

まさかこんな形で彼女と仲良くなれるとは思わなかった。
そう思っていると彼女は、「あの時もごめんね。」と言ってきた。

「え?あの時って・・・?」と聞き返しながら一瞬心臓がドクンと跳ね上がった。「高梨さんの誕生日、私と千堂くんが一緒にいたこと気づいてたでしょ?」と言ってきた。鼓動が段々早まる気がした。「え?」
「実は私の一方的な片思いだったの。あの日は、私・・・嫉妬して千堂くんの腕にしがみついただけ。彼は、バイトしてやっと貯めたお金であなたに誕生日プレゼント買おうとしてたの。だから『私が選んであげる』と言って彼の腕を無理やり掴んで連れ回したの。」

「え?ちょっと待って。浮気じゃなかったの?二人はもともとそうゆう関係だったとかじゃなくて?」と恐る恐る聞くと「違うわ。私が勝手に彼を好きだっただけ。あなたに意地悪したかっただけなの。彼は、高梨さんだけを好きだったわ。私のことなんてこれっぽっちも眼中になかった。だから腹が立って・・・」そして「ごめん。」とつぶやいた。

「避けてたんじゃなく、バイトだったの?そんなの知らない。」
「だから、サプライズだったんじゃないの?」
「私のため・・・・・?」

帰り際、早坂さんが「高梨さんってさぁ。」と急に切り出してきたので私は彼女を振り返った。「本当に素直で純粋なところ昔っから変わってないよね。私にはそれが眩しすぎて見ていられなかったの。自分にないもの、持ってるから。」と言われた。

私は、上の空でそれを聞きながら、彼女と別れるとおぼつかない足取りでホームに向かった。
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