淡い初恋
地学の授業でのことだった。席の近い者同士で机を合わせ、グループになり、「宇宙について」というテーマで調べて発表するということになった。机と椅子を合わせると私は千堂くんの真正面になってしまった。嬉しいけど面と向かうなんて緊張してしまう!!向い合って話すときには動揺で呂律が回らないかも・・・・。

私の左隣に座る北沢くんが「何にしようか~。宇宙って広いしなぁ。」と言ってきた。千堂くんの左隣に座る女生徒が「じゃぁ、月なんてどう?ロマンチックじゃん?」と言ってきた。「月について何話すんだよ。月の満ち欠けで太陰暦でも語るか?」と北沢くんが揶揄すると「なんでそんなマニアックなのよ!もっと発展するものがあるでしょ!」と反論した。「まぁ、確かに色々と月ならありそうだけどインパクトないし、他の班が発表しそうだしな。」と千堂くんが言うと思案顔になった。

ん~!考えてる顔も素敵と教科書で目から下を隠しながら遠慮がちに見ていると目が合った。やば!思わず目を逸らすと「高梨さんは何かある?」と聞いてきた。「え、私はその~・・・。」と口ごもると「ってか、さっさと言いなよ!」と千堂くんの右隣の女生徒が痺れを切らして言ってきた。「そういう言い方はないだろ!」と北沢くんが言い返す。うわ、私のせいで気まずくなってしまった。と、いうより

私以外、どこかギャルっぽくて活発な女生徒が二人と、千堂くんと北沢くんと私の右隣には真面目で大人しい男子生徒が一人。だから、グループに馴染めていないためみんなの意見に合わせようと思っていたのになんで千堂くん私に話を振るのさ。
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