深層融解self‐tormenting◆番外編◆
だって最初に聞いた時は何の話をしてるのか訳が分かんないし、またヤンチャなことするんじゃないかと思ったし。



よくよく噛み砕いて教えてもらうに、そのジムカーナってヤツが蒼季やクリスが大好きな、サーキット場を使った車同士のレースバトルだと言うのはクリスから説明されてなんとなく分かった。


クリスが言うには、蒼季が出るなら自分も出てみたいと言っていたけど、私がクリスと仲良くするのを嫌う蒼季には言えないし。


で、今日腹立ち紛れについ蒼季に言っちゃったんだ、「関越スポーツサーキットに行きたい」って。


そんなに面白いのなら、自分でも運転してみたいなー…と漠然と考えてみたり。


免許を取り立てでも、もしかしたら私にだってドリフトぐらい出来るんじゃね?なんて思ってたりもする。



「お前さ、今日そのサーキットで何やってるか知ってんの?」


知ってるからわざとそこに行きたいって言ってるんでしょうよ!?


「『JAF地方選手権』ってやつでしょ?クリスに聞いた」


あっけらかんと言い放つ私を見て、蒼季は溜め息をついた。


「えーもう8時過ぎじゃん。間に合わねぇよ」

「間に合うって、まさかそれ出るの?何時から?私は見学だけのつもりで……」

「いいから、行くなら早く仕度しろよー。大会に間に合うように行き道は俺が運転すっから。お前は帰りの運転な」


それから後は蒼季に追いたてられるように身仕度を整え、5分後にはもう車の中に押し込められていた。


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