深層融解self‐tormenting◆番外編◆
これだけ私が不貞腐れてるのに、ご機嫌とりすら忘れて、すっかり回りの車に魅入ってるじゃないよ!足回りがどーのタコメーターがどーの。



わっけ分かんない。



蒼季のインプレッサを蹴飛ばしてやろうかと、大きく足を振り上げた時、頭をぽん、と誰かに叩かれた。



誰だと思って振り替えると、そこにいたのはお久し振りの、クリス。



クリスにも会ったのはちょっと前だったのに、身長が少し伸びたみたい。


「カノン達も結局来たの?アキは?」

「知らないよ!そこら辺で車見ながらハァハァしてんじゃない!?」


蒼季のあれは最早病気だろう。車を見て興奮するとかマジで変態だ。


「出るのかな、アキ。俺も大会用にクルマ借りてきたんだ」

「借りたって、誰に?」


クリスもそんな友達が大学でできたのかな?


クリスが日本に馴染めているみたいで、よかっ……。

「貸してくれたのは、カイの友達のアスマ。ランサーってやつ」


まだあの兄貴は、クリスに余計な事を教えて遊んでんの!?


「アスマのランサーで、アキとカイがバトルしたんだって?日本じゃインプレッサのライバルって言ったらランサーだし。アスマに言ったら気持ちよく貸してくれたよ」


天真爛漫に笑うクリスに罪はないと思う、うん。


でも、これ、絶対また兄貴達が仕組んだんでしょう!?


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