オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
けれど、それじゃあ、たとえ茨城先輩からクリスマスディナーの招待券を譲ってもらえたとしても、あたし1人じゃ行けないじゃないか。

前、葉司の交友関係はわりと狭い、と言ったことがあったけれど、あたしも葉司に負けず劣らずの狭い人間つき合いをしている。

ゆえに、ゴリラ純平にも断られてしまった今、どうしても七面鳥を食べたかったら茨城先輩とディナーに行くしかない、という、なんとも認めがたい方程式が成り立ってしまった。


「あぁぁぁぁ、七面鳥がぁぁぁ……!」

「なんだよ、七面鳥って」

「ディナーの目玉よっ。食べたことないし、イラストでしか見たことなかったし、一度でいいからお目にかかってみたかったのよ!」

「それはまことに残念。……まことだけに」

「全然うまくないのよっ!!」


ほんっとに、もうっ!

純平のくせにうまいこと言ってんじゃない!


「ちょっと!今からその子に断りに行きなさいよ。女の子と七面鳥と、どっちが大事なの」

「そんなの、女の子に決まってるじゃん」

「即答すんなっ」


やだ、やだ、やだ。

純平だけは、全然腑に落ちないから重ねるけれど、純平だけは、いついかなるときもフリーだと思っていたのに、こんなにあっさり断られるなんて、あたし、どこまでツいていないの。
 
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