オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
ここにいるということは、この人もオトコの娘で、間違いなく葉司の仲間である。
ゆえに警戒して然るべきなのだけれど、メルさんは息までもがバラの香りで、今度は彼……いや彼女か、のフェロモンにめまいがした。
そうして、またもや意識を失いかけていると。
「ところで、まことちゃんはどうしてここへ? 誰か知り合いでもいるの?」
しっかりと体を起こして立たせてくれ、自分のほうにあたしを回れ右させて向き合う形にしたメルさんが、いよいよ本題を口にした。
カラーコンタクトを入れた、ブルーの大きな瞳があたしをじっと見つめている。
「じ、実は、あたしの彼氏が」
「うん。まことちゃんの彼氏がどうしたの?」
「ここで、その……」
「うん、ここで?」
しかし、そこまで話して、どうしてか気持ちのタガが外れてしまったあたしは、「あらあら」と驚くメルさんの胸にしがみつき、わんわんと声を上げながら泣き出した。
どうして今、スイッチが入ったのかは分からないけれど、入ってしまったものはどうにもならず、スイッチの切り方もまた、分からない。
そのうち開店時間になったらしく、耳に「いらっしゃいませー!」という声が入ってくる。