オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
今までは、あたしの暗~い様子を気にしつつも絵馬に願い事を書く手を休めなかった奈々なのだけれど、はた、とその手が止まった。

次の瞬間には絵馬を放り投げ、ガシッとあたしの両肩をつかみ、何を思ったのかこう言う。


「事件って何!? 立て続けって、そんなにたくさんは起こらないはずだよ!?」

「は?」

「いや、なんでもない」

「そう? ……って、うおぉ!!」


あたしにはいまいち言っている意味が理解できなかったのだけれど、奈々がつかむ位置を腕に変えていきなり引っ張ってきたもので、深く考える間もなく、その衝撃によろける。

しかも、体勢を立て直す前にずんずんと歩き出されてしまって、そのまま神社を出て、よく行くファーストフード店へと連れ込まれた。


「さあ、話してちょうだい」

「あ……うん」


ホットココアを買い、適当な席に座ると、奈々に促されるままにあたしは返事をする。

でもさ、奈々、変じゃない?

さっきの奈々の行動って、考える隙を与えさせない感じ、とでも言ったらいいだろうか、妙に焦っているふうだったし、今もだし、なんだか怪しい匂いがぷんぷんしますけれども……。
 
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