オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
年末年始も通常通りに営業するらしく、本年も当店をより一層のごひいきのほど、よろしくお願いいたします、という貼り紙の向こうは、相変わらずのオトコの娘カフェ。
時間帯がお昼時だったこともあり、年末年始ながらも店内は混み合っていて、相変わらずの“オトコの娘”の需要の高さがうかがえる。
けれど、こちらもまた相変わらずで、野太い声の「お帰りなさいませ~、お嬢さま方~」のお出迎えに、あたしは思わず、うおっ……!と身を仰け反らせてしまった。
それでも、案内されるままに席につくと、どうしても葉司……いや、ここでは愛菜か、の姿を探してキョロキョロとしてしまうのだから、そんな自分にため息が出てしまう。
奈々に引っ張られるままにここまで来てしまったけれど、そして展開が急すぎるけれど、1人で悩んでいないで早く相談すればよかった、とも思うあたり、さすが腐っても親友だ。
ファーストフード店で事件のことを聞いていた最中、あたしが本当は、葉司が竹山と×××になるのを阻止したい、と自ら結論を出していたのを見事に感じ取ってくれていたらしい。
「明けましておめでとう。やっと来てくれたのね、まことちゃん。待ちくたびれたわよ」