オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
「ねえ、まことちゃん。どうなってんの?」

「ヘっ? 何がですか?」

「……いや、その、駒村君と」

「うへへ、えへへへ」


さらには、1年のときにお世話になった先輩からも心配されてしまい、しかし、どうとも言えないあたしは、不気味に笑って誤魔化すほか、切り抜ける方法を思いつかなかった。

ちょうど奈々と一緒にいたところに純平がやってきたので、例のごとく用事を思い出したと気を利かせ、1人で構内を歩いていたのだ。


その先輩というのは、3年の乾さんといい、一昨年の学園祭の際、公開告白イベントを取り仕切っていた学園祭実行委員の1人だった。

葉司とつき合うことになったきっかけを作ってくれた人で、それ以降、構内で会えば声をかけてもらったり、あいさつをしに行ったりと、今でも緩く交流をさせてもらっている。


「うへへ、って。……まあ、言えないことのほうが何かと多いよね、世の中は。あたし、そういうのにはけっこう理解があるほうだと思ってるから、気が向いたら言ってよ」

「どうもです」

「はーい。じゃあね~」


で、乾さんが言うには、世の中はそういう仕組みになっている、ということで、彼女のもともとのサバサバした性格もあり、こうした会話ですぐに別れることとなった。
 
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