オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
そう言って、あたしから半分体を背けた葉司父の背中がひどく寂しそうで、言葉が出ない。
なんていう親子なのだろう。
父も息子も、お互いに自分は嫌われているという思い込みから、一歩を踏み出せず、なかなか距離を縮められない、このもどかしさ……。
バカか!! 大バカか!!
「あのっ!」
次第にふつふつと熱い感情がこみ上げてきたあたしは、ダンッと音を立てながらテーブルに手をついて立ち上がると、葉司父に声を荒げる。
「バカですか、あんたたち!親なら、自分の理想を押し付けず、この子はこういう子なんだと認めるもんです!子なら、親に甘えたい気持ちを諦めず、もっと頼るもんです!」
「……お、お嬢、さん?」
「それが親子ってもんでしょうがっ!!」
「分かった!分かったから、泣かないでくれ」
「ううっ」
苦悶しながらも一生懸命に葉司のことを知ろうとしている葉司父の姿を見ていたら、なんだかとても切ない気持ちになり、つい、感情のコントロールができなくなってしまった。
泣きわめくあたしに葉司父は当然ながらオロオロし、しかし何か思うところがあるのか、あたしの肩に優しく手を置くと、静かに頷く。