オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
「ねえ、葉司。……いや、愛菜」

「うふふっ、どうしたの? マコ」

「なんか、みんなの突き刺さるようなこの視線が、なんだか気持ちいいね。快感かも」

「うん。あたしも今、そう思ってたとこ」


愛菜と繋ぐ手の力が、一段、強くなる。

足取りも、いたって快調、いたって順調で、皆さん、どうぞ見てください!って感じだ。

愛菜、めっちゃ可愛いからね!

羨ましいだろー。このやろー。


「これから、どこ行く?」

「んー、とりあえず、お店で着る衣装が女子高生しかないから、ほかのを見て回りたいかな。あとは、コスメのショップにも行きたい!バイト代が入ったんだ~。いろいろ買いたいものがあるから、つき合ってほしいな」

「よっしゃ、行こう!」

「うん!」


赤だった信号が青になる。

あたしたちは、スクランブル交差点を行き交う人々の、やはり突き刺さるような視線に優越感を感じながら、ふふっと笑い合うと、繋いだ手に今一度、力を込めて、再び歩きだす。





どんな葉司も大好きだよ。

葉司との絆は、そう簡単には切れない。

だってあたしは、葉司そのものに、どうしようもなく、恋しちゃっているんだから。
 
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