オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
そして、その後の、何かと2人一緒にいることが多くなっていたことについても、おそらく、あまりにもあたしが恋にも人間関係にも自信を喪失しているため、いつカミングアウトしたらいいかと話し合っていたのだろうと思う。

確かに茨城先輩との一件はショックが大きく、今はもう立ち直っているかと聞かれると、少々返答に困ってしまうのは、否めない。

ただ、3人が三様に、葉司とあたしのことを思ってしてくれたことだとすれば、どうだろう。

……めっちゃ嬉しいじゃないかっ!!


「ちょっと待てよ。ふざけんな」

「ま、愛菜……?」

「いや、今はそれで呼ぶな」

「……葉司、どうしたの、急に」


けれど、友情ってありがたい!と思った矢先、今まで黙っていた愛菜……いや、葉司か、が声を荒げ、場の空気が一気に凍りつく。


「それじゃあ、俺がマコたちのあとをつけてたあとを、2人もつけてた、ってことだろ? そんなんじゃ見失って当然だろっ。もともと俺とマコたちとの距離もけっこうあったんだ、本当にギリギリだったんだぞ、あんとき!」


キッと3人を睨みつけ、早口でまくし立てる葉司は、オトコの娘の格好ゆえ、なかなかの迫力があるのだけれど、しかし、あたしのために怒ってくれているので、やっぱり嬉しい。
 
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