オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
その時間をめいいっぱい楽しみ、ときには辛く苦しい場面になったときでも、なんのその!と跳ねのけられる力にできたらいいと思う。

たとえ進む道は違っていても、壁にぶち当たったり、うまくいかずに落ち込んだとき、元気になれる思い出が一緒なんて、素敵じゃないか。

……て、これも理想論なのだけれど。

でも、本当にそう思うのだ。


「ねえ、マコ。あれ、言ってくれる? 告白大会が終わったあと、スタッフルームで言ってくれたこと。久々に聞きたいなー、なんて」


ひとり哲学っぽいことを思っていると、繋ぐ手に力を込めた愛菜がそう言い、ふふっと笑う。

やっぱり愛菜、あたしたちの関係が復活してから、ちょっと性格が面倒くさくなった……?


「もう……。じゃあ、言うよ? あたしは、葉司でも愛菜でも、“駒村葉司”って人、そのものが大好きなんです!それ以外には、あたしの愛を表現する言葉は存在しません!!」

「ありがと、マコ。大好きっ!!」


けれどあたしも、愛菜……いや、葉司? ああ、もうどっちでもいいや、の幸せそうな笑顔が見たくて、言っちゃうんだよなぁ。

これだから、この人は罪な人だ。




あたしの彼氏は、ときどき、オトコの娘。

そんな彼に、あたしは今日もメロメロなのです。


- END -
 
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