赤い糸の約束






私の顎を掴むと耳元で「憎しみの目」と囁いた。



その余裕な表情を見せる時斗に苛立ちその力の入らない腕で傍にある刀を握る



「そうそう、そうやって憎しみに溺れてゆけ」



声が出ないその悔しさに歯を食い縛る


その刀を振りかざそうとすると、



「月夜、元気だよ」



またあの時と同じことを言う。



「月夜はもともと長州側だしね」


“もともと”?


可笑しい、前は“なった”って、言ってただけなのに…



「じゃね♪
次会うときは月夜もかもね♪」



「待てっ!!!!!」


平助が叫ぶ中頭の中に廻るのは長州側の言葉。



月夜がそんなはずない…








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