不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
14

…観念

窓越しに眺める景色は、もう暗闇が広がっていて、

あちこちにネオンが輝いている。

いつの間にか日が暮れてしまった…

結局私に選択肢はなく、泊まることを承諾せざるおえなかった。

夕食はルームサービスを頼み、部屋で二人きりの食事をした。

どうしていいのかわからない私は、何も話せないまま、

とりあえず目先の食べ物を口に中に入れ続けた。

食後に飲み物が運ばれてくる。


テーブルに置かれたコーヒーと、ティーサーバーとカップ。

手を伸ばそうとすると、彼は砂糖を2本私の前に突き出す。

その行為に目を見開きながら一瞬躊躇してから、

それを震える手で受け取った。


彼は、それを見届けてから、突然コーヒーカップを自分の方に引き寄せ

何もいれずにカップに口をつけ、一気に飲み干す。

あの頃と本当に何も変わらない…


いつも思っていた。コーヒーはビールではないんですけどと。

でもその不自然な彼のしぐさに微笑む自分。

私は、サーバーから紅茶を注ぎ、さっきもらった2本の砂糖を一気に開け

2本同時に入れる。

紅茶に砂糖が入り、ゆっくりとスプーンで掻き回すと、段々溶けていく。

二人で食事をしたら、必ずコーヒーの彼と紅茶の私。

彼に取ってもらった砂糖を入れた紅茶は…

いつもより少ししょっぱかった。

< 102 / 130 >

この作品をシェア

pagetop