不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
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…後悔(眞人)

足元に見える、新幹線のホームに立ち

こちらを見上げるようにも見えるカノジョは、

切なそうで苦しい表情をして天を仰いでいた。

僕は…

また、カノジョを苦しめてしまった。

これでさえ、20年前、大恋愛の後に大希と結ばれる

そんなカノジョの元々のあるべき運命を、僕のわがままで歪めてしまったのに…


その後も僕のせいでカノジョは辛く苦しい思いを

数限りなくたくさんしてしまったのに…


僕にとって唯一の執着で…

目に入れても痛くなくて…

愛おしい存在。


今回はほんの軽い、いたずら心だった。


もう一度会いたいと懇願する思いは、別れてからもずっとずっとあった。

でももう一度なんて、

僕のただの傲慢で…

わがままだった。


カノジョに残酷な痕を残すつもりなんて…

そんなつもりなんて全くなかったのに…


カノジョの笑顔を、

カノジョの声を、

カノジョの存在を

今みたいに何かを隔ててではなくもう一度、本当にもう一度だけ

この五感すべてで感じたいだけだった。


その想いは結局僕自身の理性を試すこととなり、

結局僕は強い思いにすべて押し流された…


神の様な存在なのに…

それなのに僕は傲慢そのものだ。
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