不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】

…傾聴

私は50代くらいの女性に導かれて、小さな個室に入った。

「こんにちわ。先生お久しぶりです」

私が頭を下げる。

「天気の悪い中よくお越しくださいました。

どうぞ荷物はここで…」

と荷物入れをさりげなくこちらに勧めて、

「そちらの椅子にお座りください」

そして相手も私と向い合せた椅子に腰かける。


「この頃、いかがお過ごしですか?」


私はこの女性に会うだけでいつも癒された感じがする。

会えると思っただけで、少し元気になる。


精神的に参っているとき、私は一時期心療内科の門を叩いた。

しばらく通院して、服薬もした。

それと同時にカウンセリングも勧められ、薬物療法と精神療法の両方で

徐々に落ち着いて行った。

そこでの通院が終わるときに先生から、

「よろしかったら、今カウンセリングしている先生は個人でもされているので

ご紹介しましょうか?」

と言われ、そのまま今に至る…

この先生は私にとっては姉のような存在で、最初から何でも話すことができた。

表面上は丁寧な口調と物腰、物静かで穏やかに見える。

だが、鋭い洞察力と直観力を持っておられ、

情熱的な一面もあり、なぜか私の事を見抜いてしまう…

なにより、感覚や感性を共有できるフィーリングのあうカウンセラーだった。
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