不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】

…遭遇

私は、昨夜も今も、病院に行った結果を、ぐるぐると本当にぐるぐると考えた。

鬱っぽい私がこんな時、前向きな答えを導き出せるはずもなく…


次の日も、結局病院に行った。

それは重大な決断をするためだった。

たぶん…

やっぱり…

でも…

そんなことできない。


そう思いながら、私は廊下で一人腰かけて呼び出しを待つ。

そんな私の視界に信じられない光景が…

飛び込んくる。


大希さんと、若い男性が廊下を歩いてこちらに向かってきている。

突然の遭遇に私の心臓は壊れそうなくらい早かった。

耳の中にドクドクという音を響かせながら、私は平静を装った…

お願いだから…

お願いだから…

気がつきませんように…


私はソファーに座ったまま俯いて彼らをやり過ごそうとしたのに、

歩く男性達は私の前で足を止めた。

やっぱりそんなことは…

無駄だった。


「ほのか?何で…

ここで何をしている?」

大希さんとこんなところで遭遇してしまった。

それも見つかってしまうなんて…

私はそのままの姿勢で何も答えなかった。でも彼がそんなことで引くはずがない。

「すまんが、喫茶室で時間をつぶしておいてくれないか?後で行くから…」

そう男に言って彼をこの場から追い出した。
< 60 / 130 >

この作品をシェア

pagetop