不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
そう。若いからと言ってみんな元気とは限らない。

突然失踪する者もいれば、事故や病気で亡くなるものもいる。

人の運命なんて、明日どうなるかはわからないものだから…。

私達が今こうなったことだって、何かの悪戯なのかもしれないから…

大希さんが重ねていた手を優しく握り直した。

「大丈夫だよ。ただそれだけのことだから…」

瞼を伏せると大希さんが私に近づく気配がし、耳元で囁くように、

「それはびっくりしたね」

と言った。私は、思わず大希さんの横から離れ、視線をそらした。

「くすぐったいからやめて…」

それでも大希さんは私を追いかけて擦り寄り、静かに言葉を続けた。

「それから、もう一つ…

もしかしてまた…

あれ見てない?」

「…?」

「…あの夢…」


私は違う意味でびっくりして振り向くと、

そこには憂いを浮かべた瞳で、心配そうな表情をした大希さんがこっちを見ていた。

そう。そこもたぶん気になるんだよね。


そうだよね。大希さんにしてみれば、私があの夢を見るたびに陥る不調と

長年ずっと闘ってきたんだから…

私は、俯きながら穏やかに答えた。

「うん…

本当にこの前の、あの時一度きりだよ」
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