不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
11

…創生

「ところで、妊娠の事だが…」


それが本題だったと思い出す。

「正直、あまり身に覚えがあるわけじゃないんだが。

でも、俺の子だよな。色々と心配だから気を付けてはいたんだが…」

頭をかきながら、心もとない表情で私に向かって尋ねた。


「別に大希さんだけのせいじゃない。子どもはひとりではできないんだから…」

私は頬を染めてそう言った。

「でもなんで堕ろすんだ?欲しいんだろう?あくまで治療には反対だった。

わざわざ、危険を冒すこともないと思っていたが、自然にできたなら

産んでもいいんじゃないのか?

もちろん医者が大丈夫という条件付きだがな」


彼は、産んでもいいと言ってくれている。

ここで、逆に堕胎しようとするのは明らかに違和感がありすぎる。

大希さんにも言われて、不調の原因をはっきりさせたかったから病院に行った。

でも突然の妊娠に驚き、えも言われない違和感もあって…

とっさに隠した。

その後気持ちが混乱してしまい、今の精神状態で産めるのか自信がなくなって…

堕ろそうとしてしまった。

…でも本当は子どもは欲しい。


この子は間違いなく私の子…

私が欲しいと望んでいてできた子。

ただそれだけのことで、この不安を抱えたまま産みたいと思ってもいいの?
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