不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】

…錯乱

そのぐるぐるの景色は、いつもの悪夢の続きのようで…

あの夢の恐ろしさは、心身を侵し尽くす程身にしみてわかっている。

もうイヤダ!!もういい。


わかってる。私はあの人に捨てられた。

それは私に魅力がなかったから…

私にすべての原因があるのだろう…

でも、もう解放してくれてもいいのに…

私は20年が過ぎた今でもまだ苦しまなければならないのだろうか?

結局彼を待てずに、大希さんを選んだ罪を償わないといけないのだろうか?


ずっと現れない彼。目の前にずっと手を差し伸べて耐える大希さん。

その手を取ることがそんなに悪いことなのだろうか?

その胸に温もりを求めることがそんなにひどいことなのだろうか?

身代わりの大希さんでこの躰を満たすことが私の罪なのだろうか?

どうしてすぐにこういう思考回路が回るのだろう?

そうしてすぐに私が悪いと思ってしまうのだろう?

どうして大希さんと居ることが悪いと思い込んでしまうのだろう?


乱れる思考。締め付ける心。

息をするのもやっとで、このまま死んでしまいたくなる。

苦しい…

辛い…

悔しい…

彼がいなくなったのに生き永らえた私が悪かったのだろうか?

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