消えた同級生【玩具の女編】
「食べたよ、緋色は?」

気のせいか、妊娠の一件から蒼湖は変わった。

少し笑うようになり、少しずつ自分から話すようになった。

「食ったよ、野菜炒め」

「本当!?私も…」

「マジかよ、真似すんなよ」

「してないよ…」

「暇だな…一人って…」

「たまには羽伸ばしたら?新鮮でいいんじゃない?」

「別に窮屈だった訳じゃねーし…。むしろお前がいないと調子が出ない」

「変なの…」

「…今、何してた?」

「テレビ見てたよ。でもね、おかしいの…結局いつも緋色が見てる番組をかけちゃった。落ち着かなくて…」

「俺、テレビもつけてねーや…」

二人でまた笑った。

「暇だろ?最終の映画でも見に行こうぜ!」

「今から!?」

「今から!」

「お風呂入っちゃったよ!着替えなきゃ…」

「じゃあ、チャリで待ってるから降りてこいよ。待ってるから!」

「ゆっくり来てね」

俺は結局、蒼湖に会いに行った。

二人乗りでチャリをこいで、夏の蒸し暑い夜風に二人で笑った。

くだらない映画を見て、ファミレスでアイスを食った。
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