私の彼氏



二時間目の休み時間



「沙依ちゃーん!」



どうしよ…みーちゃんだ。





てか


どうしよって何が。




みーちゃんは何もしてないし

私も何もされてない。




普通に、普通に。




何とか平静を装って振り向く。






「先生が課題のノート配っとけってー。
日直だからって人遣い悪いよねー!」




そう言って

人懐っこい笑顔を向ける。




さっき

平田くんとしゃべってたときと同じ顔




それだけで

またもやもやする。




「てことだから、
修にもいっといてねー」



「…っ」





『修』




その一言にうつむく私。




みーちゃんも名前で呼んでるんだ。



あぁ…




「沙依ちゃーん?大丈夫?」




心配そうに私を覗き込む。




その視線から逃げるように

顔を背けたとき




「あー!修!」


「ん?」




私の後ろから歩いて来てるのは

多分、いや絶対平田くん。






2人の会話に

私の心はまた反応する。




これは…嫉妬。




うわ…いや。



こんな嫉妬でいっぱいの顔

見せたくないよ。





「先生がね、課題のノート配れって
修、日直でしょ?沙依ちゃんと2人で、頼んだよー」


「あーおっけ。」




その声が少し明るいのは


みーちゃんとしゃべってるから?




私に生まれた嫉妬の心が

考えたくないことばかりを吐きだす。




「んじゃ、いこ」



そう言って私の手をつかむ平田くんを振りはらって


私は廊下を駆けた。
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