吸血鬼が幽霊になって何が悪い!


「おれもいるような予感はしてた」
執行官のヒントがなければ辿り着けなかったことは黙っていよう。


「自分で決心して飛び降りたんじゃないんだけど……」
翔也は思い詰めた表情で、いきなり本題に入る。


「返ってきたテストの点数が悪くて、むしゃくしゃして、勉強から開放されたくて、お母さんに禁止されているゲームソフトを買ったんだけど、買って手にしたら急に後悔して屋上から捨てようと思ったんだ。でも、投げようとしたとき、下を歩いている人に当たったら大変なことになると気づいたらもう遅くて、滑ってバランスを崩して落ちたんだ。これって自殺になるのかな?それとも事故かな?」
翔也はおれの表情を盗むように覗き込む。

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