キミと生きた時間【完】

「そっか……。って、話し込んでてお弁当食べてなかったね」


しんみりした雰囲気を壊す様に樹里がそう言った瞬間。


≪2-C 荒木樹里さん。繰り返します。2-cの荒木樹里さん。至急、職員室まできてください≫


くぐもった音の校内放送が耳に届いた。


「あっ、あたしだ。何だろう」


怪訝そうな樹里は渋々立ち上がると、両手をパチッと合わせて謝った。


「ごめん!お弁当、先に食べてて?」


「了解!」


「食べ終わったら先に教室に戻っててくれる?」


「ううん、大丈夫。樹里が戻ってくるまで待ってるよ」


「分かった。ありがとう!!急いで行ってくるから」


樹里は笑顔でぶんぶんと手を振って屋上を後にした。
< 126 / 326 >

この作品をシェア

pagetop