キミと生きた時間【完】
8 感謝の気持ち

「里桜、おかえりなさい。今日は早かったのね?」


玄関の扉を開けると、奥のリビングからエプロン姿のお母さんが笑顔であたしに歩み寄る。


「……ただいま」


「元気ないけど……どうしたの……?何か嫌なことでもあった?」


「別にないよ……」


「そう……?それならいいんだけど……。あっ、そうそう。今から里桜の好きなクッキーを焼こうと思うんだけど、一緒にどう?」


「ごめん、疲れてるの」


立て続けに色々な出来事が起こり、正直クタクタだった。


お母さんと一緒に楽しくクッキーなんて作る気分じゃない。


「そんなこといわないで。ねっ、一緒につくろう?」


革靴を脱ぎ、自分のスリッパに履き替えるあたしにお母さんがしつこく食い下がる。
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