オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

動物園に着くと、私と凛子は男性陣の存在を半分忘れて、子供のようにはしゃいでいた。


「ねぇ凛子!あっち!ペンギンだって!」

「ホント⁉︎行こ行こ!ほら、二人とも早く!置いてくよー!」


柵に手を掛けてペンギンゾーンを覗くと、陸でブルブル震える一際小さいペンギンの群れを見つけた。


「あのペンギン小さい!赤ちゃんかな?」

「フェアリーペンギンだって。あれで大人だよ」


そう言いながら、永山さんは私の隣りに並んだ。

凛子達は少し離れたところでオウサマペンギンを見て、仲良く写真を撮り合っている。

二人はお似合いで、見ていて凄く羨ましい。


「へぇ、あんなに小さいのに大人なんだ。可愛いな〜」

「平井さんも可愛いよ」

「へっ‼︎⁉︎⁉︎」


パッと永山さんを見ると、永山さんは案の定、真っ赤に顔を染めて私を真っ直ぐ見つめていた。


「あ、ありがとう、ございます」


顔が熱い…

私は火照る頬に手を当てて、ドキドキが収まるのを待った。


「ねぇ、この後二人で回らない?」

「え?」

「ちょっと待ってて」


そう言って、永山さんは凛子達の元へ駆け寄った。

そして、すぐに戻って来ると、飛びっきりの笑顔で「行こう!」と私の手を引いて歩き出した。



< 235 / 251 >

この作品をシェア

pagetop