君と図書室で



「ここらへん、だけど…」

「サンキュー…って文字小さいな!」

「え…それくらい普通でしょ?」

「無理無理…絶対読み終わらないから」



 あ、そういえば副島君、勉強だけは苦手だったんだ…。

 それならどうして本を読もうなんて思ったんだろう?



「ね、もうサッカーが関係してなくてもいいから文字が大きめで面白い本教えて?」

「え?…私が??」

「うん、諸富さんならいっぱい本読んでそうだし」




 確かにそう、だけど。

 そんな風に言われても、副島君に合いそうな本…。




「あっ…」



 ふと頭の中に一冊の本が出てきた。

 小学校の頃に読んだ、副島君みたいな人が主人公の本があった。


 確か…




「…始まりの物語」



 そう思った瞬間、身体が動いた。



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