結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
私は晃希を抱いたりえの後ろについて、部屋に入ろうとした瞬間…

みずき君に優しく左手を掴まれる。

突然の事にびっくりしてその場に立ち止まり、振り向いた。


りえはこちらの事なんてお構いなしにそのまま廊下の角を曲がっていき、

視界からいなくなって…

リビングのドアを閉める音がバタンと聞こえた。


みずき君の手を掴む意味が分からない私は、

どうしたらいいのかわからない混乱した気持ちのまま、視線を上げた。

「どうしたの?早く入ろう…」

彼は手を掴んだまま、こちらをきらきらする目で見つめている…

私はそんなみずき君にめっぽう弱かった…

動揺する私の様子をそんな瞳で見つめたまま、

「おしゃれしてきて…

待ってるから。それからそのまま2人で出かけよう」


私は彼を見ていた目を見開く。どうして…

どうしたの?

子煩悩な彼が子どもを置いてどこかに…

なんて事をいうのは結婚してから初めての事だった。


その日は、私の誕生日でも彼の誕生日でもない。

そして入籍をした日でもなかったから…


二人で出かけたいという彼が何を考えているのかは

全く心当たりがなかった。

彼は何を考えているのだろう?
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