結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
「食べながら話してもいい?」

彼は私の返事を待って、ナイフを手に料理を食べ始めた。

「候補の1つがここなんだよ」

私は彼の話を聞き、食べながら辺りを見回した。

「素敵ね。こんなところが車で数時間ほどの所にあったなんて…」

「ひなさんはいつも忙しいから…

本音ではたまには息抜きも必要だと思いつつ、

晃希を産んでくれてから益々忙しそうで…」

「大丈夫よ。確かに忙しいけど、でも今はとっても幸せだから…」

3人の子育て。

優奈と美奈は手はかからない分難しい年頃。

晃希の保育園の送迎。それに仕事。

大変なのは確かにその通りだけど…

「そう。なんかそういうひなさんの本音が聞けて…

うれしい」

彼の表情がいつにもまして柔らかくなった。

「みずき君こそ、大変でしょ?

結婚したら突然3人の子どもの父親になったんだから…

それも二人は小学生で、私の連れ子だもの」

「ひなさんを選ぶ時点で、それは当然想定できる事。

自分が男兄弟だったので、新鮮だった。

何よりひなさんの娘だから可愛いし…

そしてもう一人増えたのは、嬉しい予想外だったけど…

娘達も、僕の子も産んでくれてありがとう」


食事は終始楽しい雰囲気で進んだ。

結婚以来初めての二人きりでのお出掛けは

デートの様で思った以上にドキドキした。
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