結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
参列者の間を通り抜けて行くと最前列の右側には、

私の母と、妹のりえ、りえに抱かれた晃希と優奈と美奈…

反対の左側にはみずき君のご両親と弟の慈希さん。


親族の横をゆっくりと通り抜けて、やっとみずき君のいる所までたどりついた。


隣にそっと寄り添って立ち、彼の端正な横顔をベール越しに見上げた。

みずき君はこちらを向くことなく直立不動で顎を引き、

まっすぐに夕日を見つめている…


私はその瞳が少し潤んで揺れていることに少なからず動揺した。

そっと腕に触れてから、掌に降りてゆき指を絡める。彼はびくっとしてから

私の存在に気が付いてこちらに顔を向けて微笑んでくれた…

その瞳に釘図けになると、瞼を伏せ潤みの原因が

彼の目じりにほんの少しだけ残る。


それから艶っぽい表情に豹変して少し腰をかがめて私の耳元に唇を寄せ

「僕が泣くんじゃなくって、今夜ひなを鳴かさなきゃいけないのにね…」

と囁いた。

私はこんな時に何を言いだすんだろうとびっくりして俯く。

「ひな…

カワイイ…

耳まで真っ赤。でもベールで見えないだろうからいいや…」

今日のみずき君はおかしい…

私の思考を遮断するように彼はゆっくりと腰に手を添えた。

それから優雅にターンするように私と二人で参列者の方に向き直る。

「さあ、そろそろ時間だよ…」
< 39 / 69 >

この作品をシェア

pagetop