結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
そう言ったとたん彼は目にもとまらぬ速さで、

部屋着を脱ぎ捨て私の躰に馬乗りになった。

彼の裸体を仰ぎ見てながらずっしりとした躰の重みを全身に感じる。

その瞳に宿る激情の色に私はたじろぎ目を見開いた。

そこにいるのは、穏やかで優しい…

いつもの彼ではない。

でもたまに見せるその艶やかで瑞々しい野獣のような姿も

彼自身であって、そこまでこんな私に

のめり込んでくれることが無上の幸せだった。


「こうやって跨って見下ろすひなは、破壊的に艶っぽくて極上の女だ。

そんな君が僕のものだなんて今でも信じられない…

それなのに、どうして一番最初に捕まえられなかったんだろう…」

その後悔の言葉は彼にとっては、本心なのだろうけど、

出会いは人の操ることのできない運命がなせるもの。

10年前、私はみずき君と出会ったからといって、これほど魅かれたのか…

わからない。今だからこそだろう。

お互いが巡り会うまでの時間を重ね、数々の試練を乗り越えたからこそ、

今の二人がある。

「ここからもう一度、もう一度だけ…」

そこで言葉を止めたみずき君は、

射抜くような目でそれ以上何も言わなかった。

それからゆっくりと私のうなじに顔を埋め、すべてを奪うように貪りつくした。
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