毒舌に惑わされて
ムカつく言い方に私は振り返って、反論した。思いっきり不機嫌な顔した聖也と視線がぶつかる。


「言ったことは忘れてない。ああ、もういいや。帰れよ。このまま莉乃と話しててもムカつくだけだ」


「言われなくても帰るわよ。じゃあね!」


「はい、はい。早く帰れ」


ムカつくのはこっちのほうだ。こんな夜遅くに帰る羽目になったのは聖也のせいだし。

夜に女1人で歩くのは危険だとか言ってたくせに、帰れなんて言うし、聖也の言葉を思い出せば思い出すだけ腹が立ってくる。


私は足に力を入れて、近くの駅まで急いだ。

今なら何とか終電に間に合う。終電は酔っ払いのおじさんとか多いからあまり好きではないけど、仕方がない。

こんなことになるなら、聖也に連れて行かれないように強く振り払えば良かった。


最悪な夜だ。
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