フィクション
にっと笑いながら女子生徒にゆっくりと近づこうとするが。
いきなり入って来た仁に、女子生徒は冷静な声で
「来ないで。」
と、短く言ってこちらを振り向いた。
仁はおもわず足を止めた。
女子生徒は背を向けていたので分からなかったが、泣いていたのだ。
静かに悲しげに泣いていた。
「泣いてるお嬢さんの言うことは出来るだけ聞きたいが、悪い。今回はできねぇんだ。」
困った笑いをしながら仁はまた近づき始めた。
それを見て女子生徒は
「来ないでったらぁ!!!」
叫んだ声に反応したように男子生徒を襲っていた大きな手が男子生徒を落とそうと動き始めた。